17話シュナルル分岐妄想



※17話ネタばれ有ります。というかネタばれ前提です。
※エロまでいってませんが、兄上がかなりひどいセクハラで匂わせまくりなので、そんなのが嫌な方はご注意を…!
※後書きがもはや17話感想。(殴












「やあ、ルルーシュ。久しぶりだね。」

「…………兄上。」

左目には眼帯をされ、後ろ手に手錠で拘束されたまま玉座の前へと突き飛ばされて、ルルーシュはあまりの屈辱に薄い唇を噛み締めた。
激しい怒りで全身がぶるぶると震える。
ルルーシュを憐れみを込めた視線で見下ろす半分だけ血の繋った男は、しかしその実、瞳の奥に隠しきれない愉悦と嘲笑を潜ませているのが僅かに吊り上がった優美な口許から知れた。
男が誠実で慈悲深い仮面を被りながら、内面では誰よりも狡猾で冷酷、欲望に忠実であることはよく知っている。
幼い頃から人を欺くことに長けた男は、何故かルルーシュだけには本性を隠そうとはしなかったから。
ルルーシュは男の本性など欠片も知りたくはなかったが。
だから、男に対してはもはや諦念しかない。
ルルーシュの所有者となった男は、けしてルルーシュを逃がしはしないだろう。
男の恐ろしさは嫌になるほど教え込まれている。
そしてナナリーを引き合いに出され、ギアスについても知られてしまった以上、ルルーシュには兄であり敵であるこの男を受け入れるしかないのだ。
おそらく死ぬまで利用され続ける。
ギアスという便利な道具を彼が手放すはずはないから、ルルーシュには完全な警備が敷かれるだろう。抗うだけ無駄だ。
だから男に対しては、この先の己の生には、既に諦めしかない。

怒りを抑えられないのは――男の後ろで苦虫を噛み潰したような顔をしてこちらを見ている、忌々しい裏切り者に対してだ…!

ルルーシュは白い歯を更にぎりぎりとやわらかな唇に食い込ませた。
ついに薄皮をぶつりと破り、ぬるい液体が細い顎を伝うが構わない。
今はそうする以外に怒りの堪えようがなかった。
憤怒のあまりに眩暈がする。
気を抜けば理性を手放して、頭の中が憎しみで真っ赤に染まってしまいそうだ。

そんな顔をするな!貴様が俺を裏切ったくせに!
一度ならず二度までも、友達と嘯いたその唇で、俺をブリタニアに売り払ったくせに…!

痛みを含んで自分を見下ろしている翠の瞳を、今すぐ抉り出してやりたい。
激しく煮え立った憎悪と憤怒の熱い視線が己を素通りして背後に注がれていることに気付き、シュナイゼルは面白そうにちらりと後ろに立つ者を見やった。
父である皇帝の七番目の騎士は、柔らかく跳ねる茶髪の下で碧の双眸を曇らせ、沈痛な面持ちで歯を食いしばっている。
視線を戻せば、昔から聡明で数多いる兄弟達の中でも一番気に入っていた可愛い可愛い異母弟が、その美しい顔を激しく歪ませてそちらを睨んでいた。
まあ、至高のロイヤルパープルの瞳が怒りと憎しみできらきらと強く輝く様も、うつくしいのだが。
ほう、と息を吐いたシュナイゼルは、同じく高貴に瞬く宵闇のような薄紫の瞳を愉しげに細めた。

「おやおや。そんなに唇を噛んでは駄目だよ、ルルーシュ。血が出てるじゃないか。
こちらにおいで」

優しく己を呼ぶ声に、ルルーシュの肩がぎくりと揺れる。
そうだ…そういえばこいつは、俺に……。
幼い頃にされた事が脳裏に蘇り、強く首を振って忌まわしい記憶を払う。
人払いをされているとはいえ、まだ警備の者も、シュナイゼルの側近も、スザクだってこの部屋にいる。
この男ならそんなものには構わず行動するだろう。
今この部屋に在ることを許しているということは、彼等から此処で起きた何事も、絶対に外に漏れないという自信が、漏れさせないようにできるという自信があるからだ。
けれどよりによってスザクの前でなどと、冗談ではない。
そんな屈辱にはとても耐えられなかった。
ずり、と無意識に後退りながら、ルルーシュは玉座に座る兄を睨んだ。

「放っておいてください。貴方には関係無い。」

「それが、そうではないんだよ。」

駄々っ子を見るように仕方なさそうな甘ったるい視線をやって、窘めるような口調でシュナイゼルは続けた。

「黒の騎士団とエリア11の平定を土産にすれば、皇帝陛下は私にお前を下賜してくださるだろう。
私はお前を皇族復帰させ、ナナリーと共に私の庇護下に置くつもりだ。
……つまり、お前の全ては私のものなんだよ、ルルーシュ。
お前の身体も、心も、髪の毛の一筋すらお前自身のものではない。私のものだ。
お前は私に逆らえない。……賢いお前にはよく分かっているだろう?
ナナリーはお前がゼロだったと知ればさぞ悲しむだろうね。彼女もここに呼んであげようか?」

「ッ…!……下衆め………!」

罵りの言葉を吐き捨てるルルーシュを見て、シュナイゼルがわざとらしく眉を下げて悲しみの表情を作る。

「皇族ともあろう者が、そんな下品な物言いをするものではないよ。
小さいお前はそうではなかったのに、何処でそんな汚い言葉遣いを覚えてきたんだろうね?
まあ、いいだろう。皇族としての生活に戻れば、自ずと品のある振る舞いができるようになるだろうから、心配しなくてもいい。」

「そっ………」

そんな心配は誰もしていない、と続けようとしたルルーシュの言葉は、しかし兄であり、支配者である男の有無を言わせぬ一声に遮られた。

「こちらへ、おいで。」

ゆっくりと、子供に言い聞かせるような優しい声音。
けれど、低く甘いその声は、一切の拒絶を許してはいない。
どのみち、ナナリーの命を握られ、自らもこうして拘束されていては、ルルーシュに従う以外の道は残されていないのだ。
この男はいつもそうだ。
退路を断ち、どうすることも出来ない獲物が屈辱にまみれながら自ら男に膝を折るのを、楽しんで見ている。
笑顔で人のプライドをへし折り、完膚なきまでに屈服させたくて仕方がない。
傲慢で残酷な征服者。生粋のブリタニアの血が流れる皇族の筆頭たる男。
屈辱と己の無力に打ちのめされて、ルルーシュは力無く項垂れた。

「…………はい、」

震える声で応えて、玉座の前の段を膝でずるずると這い上がる。
その足許に蹲り、諦めを含んだ視線で見上げると、男は優しく頷いた。

「よくできたね、ルルーシュ。
でも、もっと近くによりなさい。
私の膝においで。可愛がってあげよう……昔のように。」

「…ぅ……」

「…仕方のない子だね」

さすがにスザクの目の前で幼児のように男の膝に乗るなどと恥辱的な真似はできなくて、ルルーシュは更に唇を噛む。
血を滴らせ真っ赤に染まった唇を痛々しそうに見て、シュナイゼルは眼下へ手を伸ばした。

「ッ……!」

暴れる暇も無いまま、大きな掌と見た目よりも鍛えられた逞しい腕に軽々と抱き上げられて、ルルーシュは息を呑む。
細い顎に伝う血にねっとりと舌を這わせて、シュナイゼルは満足そうに笑った。

「ああ……やっと、お前が私の元に戻ってきた。
この日をどんなに待ち望んだことか。
私には分かっていたよ、お前が死んでいるはずはないと。
だって、勝手に死ぬなんてこと、私は許していないからね。」

相変わらずの傲慢な台詞に、反吐が出そうだ。
嫌悪に顔を歪めるルルーシュに構わず、シュナイゼルはまるで恋人にするように、蕩ける様な瞳でルルーシュを見て、甘ったるく囁いた。

「おかえり、私の可愛いルルーシュ。
……もう二度と、逃がさないよ。」

優しく甘い微笑みで告げられた言葉に、何故かぞっと全身の毛が逆立つ。
慌てて逃れようとするが、両手の自由を封じられていては、些細な抵抗など容易く抑えられた。

「分からない子だね。今、逃してやらないと言ったばかりだろう?」

くすくすとさも可笑しそうに整った口許を緩めると、シュナイゼルは弟の赤く膿んだ唇へ己のそれを寄せた。

「可哀想に……こんなに傷つけてはいけないよ、私のものなんだから。」

べろりと厚い舌で舐め上げると、強引に唇を合わせる。
深い口づけに、苦しそうにルルーシュが呻いた。

「んっ………ふ、…ぅ………む……ッ!」

がり、と傷口を抉られて、鋭い痛みに声にならない悲鳴を上げる。
自らの唇についたルルーシュの血を美味そうに舐め取りながら、シュナイゼルはにっこりと頷いた。

「うん、これでいい。私のつけた傷ならいいんだよ……痛いかい、ルルーシュ?」

可哀想などとほざきながら、笑顔で傷口を拡げて楽しむ、最低の変態め。
ルルーシュはそう罵ろうとしたが、再び唇を塞がれて、それは叶わなかった。

「抵抗すれば、この場で犯すよ。ナナリーにも見てもらおうか。」

密やかに囁かれ、絶望でルルーシュの目の前が真っ暗になる。
やると言えば、この男は本当にやる。この場にナナリーを連れてきてルルーシュを犯すことぐらいわけないだろう。
ナナリーにだけは汚れた己の姿を知られたくはない。
長く肉厚な舌が口腔内に侵入し、我が物顔でねっとりと中を舐め回す。
奥で縮こまるルルーシュの舌を探り当てると、その執念深い性格を表すかのように、逃げ惑うルルーシュの舌へしつこく絡みつく。
不躾なそれに噛みついてやりたくて堪らないが、ルルーシュにできるのは、ただ屈辱に震えながら受け入れることだけだった。
尖った舌先でルルーシュの唇の傷をじくじくと嬲りながら、シュナイゼルはふふ、と吐息だけで笑った。

「……見てご覧。彼は随分お前の事が気になってるみたいだね。
さっきからずっと、食い入るようにこちらを見ているよ。」

「な……っ…!」

唇を擦り合わせたまま戯れのように告げられて、ルルーシュは反射的に、後方に立つかつて友人だった男に視線を向けた。
以前は生き生きと輝いていたはずの翡翠の瞳は昏く澱み、今は何の感情も浮かべない冷たく静かな双眸で、ただじっと翻弄されるルルーシュだけを、片時も反らさずに見つめている。

やめろ!見るな!俺を見ないでくれ…!

その冷徹で無感情な瞳が、ろくな抵抗もできず男にいいように扱われているルルーシュを見下し、まるで嘲笑っているかのように思えて、ルルーシュは耐え切れない羞恥に叫び出したくなった。


君は結局、何も出来ないんだよ。
あの頃からちっとも変わらない、無力なままだ。
やさしい世界?
君なんかに世界が変えられるものか!
最後には僕に縋って、たった一人の妹すら救うことができないくせに。


幻聴が、ルルーシュを苛む。
美しい紫水晶の瞳を大きく見開き、がくがくと身体を震わせて動揺を露にする愛しい弟をシュナイゼルは楽しそうに見下ろした。

「いけないな。他所見をしては。
お前は私のものなのだから、私だけを見ていなくては。」

言い終わると同時、これまで以上に深く深く口づけられる。
スザクが見ているのに……!

「……ぅ……ん、……っ…!」

大量の唾液が注ぎ込まれ、呑み込みきれないそれらがたらたらと顎を伝う。
激しく舌を絡め取られるいやらしい水音が、静まり返った広い部屋にぐちゅぐちゅと、いやに大きく響いた。
じっと静かにこちらを見つめ続ける、翠玉の瞳。

嫌だ!やめてくれ!

悲鳴が胸を荒れ狂うが、ルルーシュに拒否することはできない。
かつての友人であり、今は裏切り者である男と見つめ合ったまま、その目の前で凌辱されるのに耐えきれず、ついに気丈なアメジストに涙の膜が浮かぶ。

「可愛いね、ルルーシュ。泣いているのかい?」

口づけを解き、仕草だけは優しく、シュナイゼルはルルーシュの潤んだ瞳に唇を寄せ、目尻に溜った滴を拭った。
大きくしなやかな両の掌が、宥めるようにルルーシュの華奢な背を撫ぜながらゆっくりと滑り下りる。

「ひッ…!」

しかし、突然強い力で小ぶりな尻の双丘を掴まれて、ルルーシュは短い悲鳴を上げた。

「そうそう、大事なことを聞き忘れていたよルルーシュ。
ここに、」

やわやわと感触を楽しむように緩急をつけて揉みながら、にこりと微笑んでシュナイゼルは言った。

「私以外の誰も受け入れてはいないだろうね?」

例えば、後ろに立っている彼だとか。

狭間を割り開き、密やかに息づく蕾に、長く優美な指先を強く擦りつけられる。
すり、すり、と服の上からいやらしい動きで弄ばれ、あまりに下卑た邪推をされて、ルルーシュは怒りに顔を赤く染めた。
こいつは確かに裏切り者だが、お前のような外道とは違う…!
瞳に苛烈な光を宿らせ睨みつけるルルーシュを見下ろして、シュナイゼルは大仰に眉を下げた。

「そんな顔をしないでおくれ。私はただ、お前があまりに可愛いから、心配なだけなんだよ。」

「下品な想像はやめてください…!彼は貴方とは違う…!」

「はたしてそうかな…?」

面白そうに含み笑いながら、シュナイゼルは直立不動で後方に立つスザクを伺った。

「君もルルーシュが乱れる様を見てみたいだろう?枢木スザク」

裏切ったといえども、かつては親友だったのだ。
正義を信じるスザクがこれ以上自分を辱めようとするだろうか。
頷くはずはない、と信じて、ルルーシュは祈るようにスザクを見た。
けれど。

「…………はい。」

あまりにも簡潔な一言で、スザクはあっさりとルルーシュを深い絶望の底へ突き落した。

これ以上、俺を辱めようというのか……どこまで俺を食い物にすれば、お前は、気が済むんだ…?
そこまで、俺が憎いのか…?スザク……!

愕然とスザクを見るルルーシュを平然と見下ろして、スザクが翳った翡翠を静かに細める。

「ほら、彼もこう言っている事だし、見せつけてあげようか。」

愉しげに言うシュナイゼルの言葉が、ルルーシュの上に死刑宣告と等しい響きで落ちた。

「あ、にうえ…………」

赤く腫れ上がった唇をふるふると震わせて、ルルーシュは喘ぐように呟いた。

「うん?何だい、ルルーシュ?」

甘やかしたくて堪らない、というような蕩けた笑みで、シュナイゼルが首を傾げる。

「貴方を、いつか、殺してやる……ッ」

殺意でうつくしく煌めく紫水晶の瞳をうっとりと見て、シュナイゼルは睦言を囁くように答えた。

「最高の愛の言葉だよ、ルルーシュ。私もその時が来るのを楽しみに待っている。」

貴様もだ、スザク……。
静かに煮え滾る憎悪を募らせて、ルルーシュは立ち尽くしているスザクを睨み据えた。
悪意に塗れたルルーシュの顔を見ても、全てを享受するかのように波立たない翡翠の瞳に、ただただ苛立ちが募る。
異母兄の巧みな愛撫に翻弄されながら、ルルーシュは兄を、親友を、世界を呪った。

やさしい世界など、初めから何処にもありはしないのだ。
信じた者に裏切られ、大切なものは尽く奪われる辛いだけの世界なんて、消えて無くなってしまえばいい。
こんな世界なんて、いつか、俺が、ぶっ壊してやる……!

狂った兄弟の醜悪なまぐわいを、断罪を待つ昏い翠玉が静かに見つめている。
あいつが憎い。世界が憎い。
憎しみしかないはずなのに。
なのに、どうして。

…………どうして、この胸はこんなにも切なく痛むのだろう…?

頬を止め処なく流れ落ちる涙の理由が自分でも分からなくて、黒の皇子は全てを拒絶するように、強く瞼を閉じた。



















うわーなんか微妙な出来ですみません…!;
公式がやらかした17話に乗っかって、シュナルル分岐妄想してみました。
ついに公式で姫様にまでなってしまったルルーシュはどうなるのかオッサンはドキドキですYO!
ジノが最初にカレンたんの所に行った時、「あ、これでカレンたんにリフレイン打ってゼロの正体吐かせてルルーシュ皇族バレして拘束されちゃうのかな」と素で思ってた外道はワタクシです^^(撲殺
まあ、皇族バレはまさかの鬼畜兄上が、同人誌も真っ青な展開でやらかしてくれたわけですが…。
でも、ジノがカレンたんをラウンズに誘ったのは、逃がして自分も騎士団入りするためなんじゃないかと今だに夢見てるんだようへへ!(ありえないZE★
シュナ兄上は……あれはもうシュナルルが足りてないとの公式の要求だったんじゃないかと思います。(爆
しっかしアンフェアだの戦争止められただの悲しみの連鎖をいつまで続けるんだだの、相手だけが悪いようにいけしゃあしゃあとよう言えるなー…さすが鬼畜兄上…。
スザルルも、タイトルからまさかなーとは思ってましたが、ほんとにあそこまでやらかすとわ……夕方5時に放送しちゃいけないと、オイチャン思うあるヨ!
結局許すつもりだったんなら、前半のあのえすえむぷれいはいらなかったんじゃないかな?かな?と枢木卿にお聞きしたいれす。
後半かなりぐだぐだになっちゃって申し訳ありません…やっぱ勢いで書ききらないとなー…;
さーて次はジノルル+スザクの暗黒三つ巴を…!

御影








※ブラウザバックでお戻り下さい。


2008.08.05