神への忠誠











「こんにちわ」

彼は、軽く小首を傾げて微笑んだ。
亜麻色の艶やかな髪が、それに従ってさらりと流れる。
聖女のように慈愛に満ち溢れた、夢のような綺麗な微笑み。
未だに、彼が目の前にいるという事実が信じられない。
たしかにキラの高潔な思想には心酔していたし、キラこそが新世界の神たるにふさわしいと思っていた。
出目川のような小物がキラの代弁者としてふんぞり返っているのも、その底に彼の意志を窺えたからこそ許すことができた。
しかし、まさかキラが彼のような人物だとは想像だにしていなかった。
陶磁器のような白い肌、長い睫毛はその上にはかない陰影を落とし、紅く色付いた唇は艶めかしい。
彼は全ての神々に愛され、祝福されているかのような姿で、そこにいた。
吸い寄せられるように、彼から目を離すことができない。

このような、うつくしいひとが存在するのか。

彼は、まさしく神だった。
何故彼が自分などを選んだのか、皆目見当もつかない。
だが、それでいい。
それで十分だ。
神は自分を選んだ。
その事実さえあればいい。
自分の唯一の神が目の前で微笑んでいる、それだけで十分過ぎるほどだ。
所詮、神の考えなど人に分かろうはずがない。
あまり、彼のことを熱心に見つめすぎたのかもしれない、不躾な視線に思われただろうか。
彼が不思議そうな顔で瞬きをする。
そうすると、先程まで彼を包んでいた侵しがたい神聖な空気は立ち消え、純粋さを宿す瞳は彼を幼子のように見せた。
彼に、見られている。
不意にそのことが意識されて、心臓が早鐘のように脈打ち、頬に朱がはしるのを感じた。
慌てて彼に張り付いた視線を無理矢理に引き剥がし、顔を俯ける。
失態だ。
彼にだけは、無様な自分を見られたくないのに。
そのまま顔を上げられずにいると、くすくすと鈴の音のように軽やかな笑い声が響いた。
困惑して彼の方を見上げれば、こちらを眩しげに見つめる彼の視線とぶつかる。

「ぼくは、あなたのことをよくしっていますよ。ミカミ テル、さん。」

彼の涼やかな声音で自分の名が紡れて、全身が感動に打ち震えた。
一点の曇りも見受けられない、澄み切った瞳が、ひたと自分を見据えている。

「あなたが、ぼくに賛同してくれて、とてもうれしい。
ご存じのとおり、ぼくは新しい世界をつくりたい。
ぼくのやり方を非難するひともいます。
たしかにぼくは間違っているのかもしれない。
けれども、少なくとも、殺人や悲惨な事件のない、悲しむひとのない世界はつくることができるとしんじています。」

彼はそこで一旦言葉を切った。
澄んだ瞳の奥に、純粋であるがゆえの狂気が揺らめいている。
折れそうに細い首、華奢な肩から続いている白く優美な右腕が、こちらへと伸ばされた。

「ぼくと、ともに。
新しい世界を、つくってはくれませんか。」

一瞬の躊躇もなかった。
迷うことなく彼の手を取り、その足元にひざまづく。
そんな問いの必要は全くない。
神が自分を求めている、それなのにどうして否があるだろうか。

「すべては、あなたの望むままに。」

永遠の忠誠を誓って、なめらかな神の手にそっとくちづける。
上目に表情を伺うと、彼はよくできました、というように口元をやわらかく綻ばせていた。
視線が合えば、そのビスクドールのように整った白くちいさな顔に、全てを魅了する妖艶な笑みが浮かぶ。
彼が善神であるのか、それとも邪神か、自分には分からない。
たとえ邪神であろうとも、そんなことは関係ない。
どちらにせよ、彼が自分の唯一神であることには変わりはない。
ただ一つ言えるのは、この神のためならば自分は何でもするだろうということだ。
誰を、何を犠牲にすることも厭いはしない。
母親を殺せと命じられれば、喜んで殺してみせよう。
死ねと言うのならば、今すぐこの胸を切り裂いて心臓を抉りだすことだってできる。
目の前に降り立った瞬間から彼は自分の絶対となったのだから。
彼の呪縛に囚われてしまった自分は、もう二度と逃れることは叶わないだろう。
尤も、それを望むことは一生ないに違いないが。
もし、もし…――彼が世界を破滅に導く神であったなら。
彼の後ろに付き従って、壊れゆく世界をふたりで見下すのもいいかもしれない。



かしづいたまま、彼のうつくしい神が奇蹟のような微笑みを浮かべる様を、うっとりと見上げる。
忠実な下僕は目を細めて、つかの間の夢に酔い痴れた。



















ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。(土下座
激しく捏造&偽物でごめんなさい。(汁
本誌でキラ信者な照君に激萌えした結果、まだどんな人物なのか分からぬままに突っ走ってしまいました…。
ああいう攻め大好きです。
特に月が神とかいってるところがたまりません。
壊れ美形万歳!!(*´∀`*)
ぶっちゃけLより萌え…るか…も。(えぇ
いっきに萌え書きしちゃいました…このノリで書いたはずの赤セナは消えてからまた書くのに異様に時間かかっちゃってるのに…萌えの力は偉大だ。
かなり初期に書いたんで照が別人ですね…あの時は夢見てたなあ(泣

御影








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2005.10.04