さすなる妄想
「サスケ………っ」
こちらを睨みあげる潤んだ瞳。
ちらちらと炎が揺れる碧眼には自分の姿しか映らないことに満足した。
少し背がのびただろうか?
体付きもよりシャープになり、少年の域を脱しつつある。
しかしまだ昔の面影は至る所に残っていて、それがたまらなく懐かしい。
サスケは眩しいものを見るように、僅かに目を細めた。
「……迎えにきた。一緒に、帰ろう。」
ああ、ほんとうになにひとつ、かわってなどいない。
そのどうしようもない愚かさも、純粋さも、吐き気がするほど愛おしかった。
なんて馬鹿なんだ。せっかくあの谷で、この腕で、安らかに息の根を止めてやったのに。
知っていた。だって殺してなどいない。
けれども追わないように、壊さないように、その鼓動が止まるのを一度は見届けることで、俺から逃がしてやったのに。
それでも追ってくるなんて、お前はなんて馬鹿なんだろう…馬鹿で、愚かで、純粋で、そして愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて。
気が、狂ってしまいそうだ。
お前は何も知らない。
お前は、なにひとつ分かってなどいない。
クスリ、薄い唇が弧を描いた。
くつくつと堪えきれない低い笑いが喉を突き上げる。
ナルトがピクリと眉を吊り上げた。
「……………何が可笑しいんだってばよ」
しろい頬が怒りに微かに上気していた。
ああ、ほんとうに、おまえはかわいいな。
愛しい俺の、愚かなお前。
今すぐ引き摺り倒して、やわい肌を切り裂いて、まだ温かなお前の心臓に頬摺りしてやりたい。
うっとりとその時を想像する。
勿体ないから実行するつもりはないけれど。
「…サスケ?聞こえてるんだろ、何か言えってば‥ッ!どうして何も言わないッ!?」
何も応えないサスケにナルトの声が苛立ちを増した。
「……………別に?言うことなど、ない。」
そう、だってお前の方から囚われにきたのだから。
「なっ…!俺に、何も言うことはないってのかよ…!!」
「ああ、ないな。」
ナルトの蒼い双眸が、こぼれ落ちそうなほどに見開かれた。
一瞬、どうしようもなく傷ついた色がその瞳を掠める。
サスケはその絶望の表情を恍惚と見つめた。
傷だらけでズタボロのその心に、誰よりも深い爪痕を刻んでやるのはいつだって快い。
他に何も入る余地がないほどに、心の奥底までを強くえぐってやりたかった。
きっと、引き裂いた傷跡からどくどくと溢れだす赤い、紅い鮮血は、この世のなにより甘いに違いない。
「…ごちゃごちゃと煩い。しつこいんだよ、オマエ。
知らないんだったら教えてやる。お前を友だと思ったことなど一度もない。
俺はな、昔からお前を見るたび虫酸が走ってたまらないんだよ。」
無表情に吐き捨てれば、ナルトの表情が一層悲痛に歪んだ。
ああ、やっぱり、こんなにも甘い。
至上の美酒にも勝る甘い酩酊に、微かにサスケは目を細める。
嘘は言っていない。
ナルトを友だと思えたことはないし(そもそもそんなものは必要ない)、里の人間に蔑まれながらも真っすぐ前を見つめるナルトの周りにはいつだって人が群がっていて、その全員を殺してやりたくなったものだ。
「…だからまた、殺してやるよ。今はそういう気分だ。」
そう甘く低く囁いて、サスケはにっこりと笑んだ。
鋭い切れ長の黒瞳はこれ以上なく甘く、薄い唇が微かに弓なりになって、整った容貌に浮かぶ笑みはまるで恋人に向けるもののように愛しげだった。
終
ん……………?
なんか書きたかったのと全然違うよーな??
もっとドロでエロでグロな鬼畜サスナルを書きたかった(爆)のに………やはりあたくしには無理ざんした………(号泣
なんかよく分かんねーことになった……(死
御影
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2006.06.05