ダークっぽい白蘭×ツナ











「ぐ………」

綱吉は低い呻きをあげてシーツの海を這いずった。
気を失うまで散々好き勝手されていた腰が、鉛のように重い。きっとまた、綱吉が気を失った後も奴が満足するまでいたぶられていたのだろう。
実に愉しげな笑みを浮かべて綱吉を弄ぶその瞳を思い出して、ゾッとする。
白蘭。未来におけるマフィア界の、帝王とも呼べる存在。
切れ長の目元に独特の刺青を入れ、しなやかな長身が見下ろして嗤う姿は華々しく、そして何よりも禍々しい。
京子は、みんなはどうなったのだろうか。
ここに捕われて数日。綱吉の心を占めていたのはそれだけだった。
ヴァリアー襲撃の後、リボーンが消え、それを追って仲間達と共に未来に来た。わけのわからぬうちに敵に襲われ、この時代の戦い方を心得ていない綱吉達はなすすべもなく敗北。目覚めたら綱吉だけがこの部屋へと移されていたのだ。
薄暗い照明の灯ったがらんどうのような部屋。広さはあるが、中央のダブルベッド以外はベッドサイドに小さなチェストと椅子があるだけで、逆に寒々しさを感じさせる。出入口はひとつ。窓はなかった。綱吉を飼うための部屋。
飼う。そう、彼は言った。

『綱チャンを、ココで飼うんだよ』

目覚めてつかみ掛かった綱吉を止めるでもなく、戒めるでもなく、実に愉しそうに目を細めて白蘭は嗤ってみせたのだ。
死ぬ気丸を取り上げられれば、綱吉に抵抗する術などあるわけがなくて。
あっというまに捩伏せられ、苦痛でしかない時間を余儀なくされた屈辱は、今も生々しく綱吉を苛む。
別に白蘭は、快楽を求めてこの不自然な行為を綱吉に強いるのではないだろう。
それが、綱吉に一番屈辱を与えられると知っているから。あの男は、綱吉のちっぽけな理性を剥ぎ取り、なけなしの矜持を踏みにじって、絶望に呻く様を嘲りたいだけだ。完膚なきまでに打ちのめし、足元に這いつくばらせたいだけだ。
それこそが白蘭にとっては性感にも繋がる悦びなのかもしれない。最低のクズ。
綱吉は、正しく白蘭に恐怖していた。
その強大な力にではない。
実に愉しげに人を捩伏せる、その性。世界と切り離され、玩具で遊ぶ子供のように他人を弄ぶ。
そこにはひとしずくの悪意も介在しない。在るのはただ、愉悦だけだ。
だからこそ、綱吉は彼が恐ろしかった。ボンゴレの超直感が訴えるのかもしれない。
この世でもっとも恐ろしいものとは、ひとすじの淀みすらない全くの純粋だ。
それは時として、狂気とも呼ばれる。

「ただいまー」

音もなく唯一の出入口たる扉が開かれ、何にも遮られることのない傲慢さで外の光が薄暗い部屋を裂く。
長い影が光と共にするりと中へ滑り込んだ。
錆び付いた血と青臭い精液に塗れぐちゃぐちゃになったシーツの上、蹲る綱吉を見下ろして支配者が美しく嗤う。

「イイコにしてた?」

「……ッ…!」

警戒し、身を硬くする綱吉に頓着することなく伸ばされる長い腕。
綱吉の栗色の髪にまるでペットの毛並みを撫でるように、優しく触れる。それを叩き落として睨めつけた。
クスリ、白蘭の薄い唇がゆうるりと弧を描く。

「ぐっ……ぅ……ア…アァ…ッ!」

次の瞬間、綱吉の叩き落としたその腕が、細い喉を万力のような力で締め上げていた。
力の入らない指で締め上げてくる腕にぎりぎりと爪を立てるけれど、一向に力の緩まる気配がない。
恐怖と憤怒。相反する感情がせめぎあう、潤んだ茶色の瞳に映る自分を確認して白蘭は満足そうに微笑んだ。
パッ、何事もなかったかのように綱吉の首を締め上げていた腕が引かれ、一気に気道に入り込む空気に、綱吉は激しく咳込む。

「ガハ…ッ……ひ、…ぅ……ハッ……ァ…」

白蘭は酸欠で真っ赤に染まった綱吉の頬を、するりと愛おしげに撫でた。

「やっぱ、綱チャン、イイ。飽きない。
ねえ、もっと俺と遊んでよ。もっと俺のコトだけ考えて。怒って。憎んで。怯えて。」

ニコリと無邪気に笑む。

「ね、次は何して遊ぼっか?」

何処か甘さを含んだ囁きを耳にして、綱吉は静かに瞳を閉じた。



















白蘭さま初登場時に突っ走って日記に投下していたもの。
しかもよりによってダークです…アッハッハッハッハッハ!(うおい!
カラーも口調も一人称も性格も背景も全くわかんないうちからの暴走です(爆
ウン、鬼畜なのは間違いないと思うよ!(もう黙りなさい

御影








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2007.09.07