恋は媚薬:01



※エロ有り話ですので、苦手な方はご注意くださいませー!
※一応END後のお話です。微ネタバレご注意。










「店主殿、ここにいるのか?」

「…んー?」

ドアの向こうからかかるセイロンの呼び声に、俺はベッドに寝かせていた身体をゆっくりと起こした。
努力の甲斐あってか、俺の宿は昼夜問わず繁盛し、宿泊客が増えて連日賑わっている。
しかし今日は珍しく宿泊客もなく、早めに仕事がひけたので、こうしてだらだらと自室でくつろいでいたというわけだ。
とろとろと夢うつつにめくっていた料理の本を脇に置いて、ベッドの端に腰掛ける。
丁度扉を開けたセイロンが、こちらに顔を覗かせていた。

「なんかあったのか?」

「いや、別に…我が先に風呂を頂いたのでな、店主殿はどうかと思って呼びに来たのだよ」

「そっか、わざわざあんがとな。うーん、どうしよ…俺は別に朝入ってもいいしなぁ」

少し眠くなってきていたので、どうしようかと悩んでしまう。
けれど部屋に入ってきたセイロンの姿に、俺は眠気も忘れてまじまじと見入ってしまった。

「………我がどうかしたか?」

穴が開くほど見詰めてしまっていたためだろう、視線に気付いたセイロンが訝しげに片眉を上げる。

「いや……なんかそうしてると、雰囲気違うなと思ってさ」

いつもは真ん中分けに額を覗かせているのに、今は濡れた髪が前へ流れてすっぽりと覆い隠してしまっていた。
朱色の髪は深みのある紅へとその色を変え、綺麗に切り揃えられた前髪は目にかかるかかからないかぐらいのところに落ちてきている。
…こうして見ると、セイロンって案外人相悪いんだよなあ。
普段は朗らかな笑みで隠されている切れ上がった三白眼も、前髪のせいかすっかり強調されてしまっていた。
その瞳の色もまた、髪同様の深紅だ。
縦に長い瞳孔は、その者が間違いなく人にあらざるもの、龍の血族であることをはっきりと示している。
いつも着ている物と違う、鬼妖界の衣服の一種である漆黒のキモノ(特にこれはキナガシ…というのか?)を身に纏い、けだるそうに鍛えられた胸元をはだけて立つ姿は、鋭い三白眼と相まってなんだか危険というか、妙な男の色気を漂わせていた。
よく見知った顔であるはずなのに、全くの別人であるかのように感じてしまう。

「店主殿?先程からじっと見詰めているが、何か…おかしいだろうか」

「ううん、そんなことないぜ。…というか、むしろカッコイイとゆーか男臭くて羨ましいとゆうか…」

「ほう…?」

セイロンの口端がニヤリと吊り上がり、ぼーっと何も考えず聞かれるがままにバカ正直に答えていた俺は、ハッと我に返って息を飲んだ。

しまった…!こんなことを言ってしまったら…っ!

案の定、ニヤニヤと意地悪そうな笑みを浮かべたセイロンが、俺の隣へと腰を降ろしてくる。
肩を抱き寄せてぴったり密着され、ふぅっと熱い吐息を耳元に吹き込まれて、俺はゾクリと背筋を震わせた。

「ちょっ…も、ひっつきすぎだって…!」

「なに、照れずともよい。
つまり、店主殿は我に見惚れておったと…そういうことであろう?あっはっはっはっはっ」

「だから、違うって…ちょっと物珍しかっただけだってば…」

俺ははあ、と深い溜息をついてうなだれた。
コレだ。
最近のセイロンのスキンシップの激しさに、俺は日夜頭を悩ませていた。
ラウスブルグの一件が片付いた後、龍姫様とやらを探すと言って勝手にウチに居座ったセイロンは、いつ頃からか妙なことを言い出すようになった。
いわく、
『店主殿は妖精の血を引く響界種。我は龍神イスルギ様の眷属。
お互い寿命も長く、生涯の伴侶となるにはまたとない良縁だとは思わぬか?』
だ、そうだ。
なんだそりゃ?と目をぱちぱちと瞬かせる俺に、というわけでこれからは遠慮なく口説かせてもらうでな、とセイロンがにっこり笑って告げて以来、折につけべたべたと触られまくっている。
際どいところにも手を伸ばされ、尻を揉まれたのも一度や二度のことではない。
もちろん俺だって全くの無防備ではなく、一応は抵抗を試みてはいるのだが………甘く低い声音で名前を囁かれると、なんというか、何故だか全身の力がへりゃりと抜けてしまうのだ。
顔は勝手に熱くほてるわ、意志を無視して身体はくたりとセイロンに身を預けてしまうわ、心臓は割れそうな程の勢いでドキドキと早鐘をうつわで、もうなにがなんだか分からない。(これは俺の推測だが、鬼妖界の妙な術か薬を施されてるんじゃないだろうか。うん、きっとそうに違いない!)
ぼうっとなっているうちにあれよあれよと流されてしまい、いつも間一髪のところで、宿を手伝ってくれているリシェルやルシアンの助け舟に救われていた。
しかしその頼みの綱も、本日は俺同様、早めに引けて既に帰宅してしまっている。
頼れるものは、もはや自分自身のみ!
そう強く喝を入れ拳を固く握った俺は、しかし耳たぶをねっとりと舐められて、思わず妙な声を上げてしまっていた。

「ひぁ…っやぁ、ん………な、なに‥っ?」

「ふふ、いつもながら店主殿は敏感だな…喜ばしいことだ」

「なっ…なに言ってんだよ!?やめ…」

「聞こえぬなあ?」

「ッ…ひゃんっ」

なんとか押しのけようと、細身の見かけによらず鍛えられた胸に手をつくが、そのままかぷりと耳たぶを甘噛みされて手から力が抜けてしまう。
はからずも自分から縋り付くような格好になって、あまりの恥ずかしさにバッと両手を引くが、それではますます相手のツボだった。
邪魔がなくなったセイロンの腕がいつの間にか服の中へと入り込み、後ろから抱き込まれるような形で胸元をまさぐられる。
器用な指先がすぐに小さな胸の飾りを発見して、その回りでくるくると悪戯に円を描いた。

「こら…!……やっ…ぁあ」

なんとか止めようと制止の声をあげるが、カリ、と先端を引っ掻かれてそれは途中で途切れてしまう。
くすりと背後で含み笑う気配がして、羞恥にカァと顔が赤くなったのが自分でも分かった。

「……ん、あ……やぁ…………ッ!」

人間のものと違い、鋭く尖った爪先で乳首の先端をぐりぐりとえぐられて、微かな痛みに小さく息を飲む。
俺は非難するように背後のセイロンを睨み上げた。

「ちょ…やめろよ、痛いだろっ!」

「ふむ…おかしいな、店主殿のココは嫌がっているようには思えぬが。
ならば何故こんなに硬く尖っているのかね?」

「え…」

シャツを胸元まで大きくめくりあげられ、ほれ、見てみよと目で前方を指し示されて、促されるまま視線をやった俺は大きく瞳を見開いた。
ベッドの向かい側に据えられた全身鏡の中にも、目を丸くした俺がいる。
元々俺の部屋に鏡などという気の利いたものは無かったのだが、先日リシェルに『あんた、それでも経営者なんだから、少しは身嗜みにも気を使いなさいよね!』と無理矢理置かれたものだ。
面倒だからそのままにしておいたのだが…まさかそれを後悔するはめになろうなどとは夢にも思わなかった。
白い肌の上で赤く色づき、ぷっくりと硬く尖った小さな乳首がやけに卑猥に目に映る。
きゅうっとつまみ上げられて、俺の唇からは甘えたような悲鳴が上がった。

「きゃぅ…っ……は、ぁ…あぁっ…」

「ん…?どうなのだ、店主殿?」

「うるさっ……ゃ、…だか、ら、やめろってばぁ……」

「ふうむ?」

鏡の中のセイロンは意地悪そうに唇の端を吊り上げて、顔を赤くして喘ぐ俺の姿をじっと見ている。
つままれた乳首をこりこりと押し潰されたり、胸に埋め込むようにぐねぐねとこねまわされると、妙な痺れがゾクゾクと腰骨を襲った。
な、なんだっ……?
未知の感覚に目を回す俺を尻目に、さっきまでくりくりと乳首をいじめていた腕の片方が、するりと下に滑り落ちた。
黒い短パンと上に履いたズボンの間にある、内股の隙間で剥き出しになったふとももをつつっと撫で上げられる。

「ンっ…」

俺は息をつめて、ぴくりと震えた。 よく誤解されるが、何もこんなヘンな構造の服を俺が好き好んで着ているワケでは、断じてない!
俺にこの宿を任せてくれている雇い主、つまりリシェルとルシアンの父親であるテイラーのおっさんのことであるが、ヤツに店長の制服であると着るように厳命されたから着ているだけだ。
服なんて別になんでもいいし、こだわりなんて全くなかったから特に何も思わずに着ていた。せっかく用意してくれたのに勿体ないし。(ただしサイズを測られた覚えもないのにぴったりだったのには驚いたが。)
しかし、こんなにたやすく不埒な手の侵入を許してしまうとは…そんな危険性には全く考えが及ばなかった。
今度から抗議する必要があるかもしれない。
……………って、こんなコトすんのなんかコイツぐらいなんだから、身の危険なんて感じるはずがねーっていうかそれが当たり前だっつーの…っ!
しかし俯いた俺がブツブツと現実逃避している間にも、セイロンの手は容赦なく俺の身体中を這い回っている。
スルリとズボンの中に入り込んだ大きな手の平の存在に気付いた時には、もう全てが遅かった。

「やぁ…っ!……は、…ふ…ぅっ…ぁ……やめ…ろ、よぉ…っ…」

遠慮なく下着の内に入り込み、敏感なソコをじかに握り込まれて、あまりの情けなさに目尻に涙が浮かんでしまう。
湯上がりのためかしっとりと湿った熱い手の平でやわやわと揉まれれば、経験の浅い俺などはひとたまりもない。
胸を愛撫されて緩やかに反応を示していたソコも、巧みに煽られて完全に勃ち上がり、いつしか熱い涙を零し始めていた。
セイロンが手を動かす度にクチュクチュと濡れた音が小さく響いて、いたたまれなさに顔が熱くなる。

「だからぁ……やめ…って…ぁっ……アア‥ッ!」

涙目で睨み付けるが、先っぽの窪みに鋭い爪をねじ込みながら少しきつめに擦り上げられて、またへにゃりと力が抜けてしまった。
止めさせるどころか、太腿の間に挟んだセイロンの腕を思わずきゅっと締め付けてしまう。
まるでもっとと愛撫を催促しているかのような行動を取ってしまい、もう俺は火が吹けそうなほど顔を赤くしていた。

「…気持ち良いか?」

甘く目を細めたセイロンが、鏡の中から問い掛けている。

「ンなこ…と……ぁっ…は………きくな……ッ……」

俺は顔を赤くしたまま、嫌々をするように力無く首を振った。
そんな様子の俺を鏡の中から見返して、セイロンがまだ俺の胸で遊ばせていたもう片方の手を俺の顔の方に上げる。
優しく顎を掴まれて、セイロンを見上げる形で固定されるが、その意図が全く分からない。
しかし緩く釣り上がった唇がゆっくりと降りてくるに当たって、ようやく何をされようとしているのか気付いた俺は、なんとか顔を背けようとセイロンの腕の中で身をよじった。
けれど、さほど力を入れているようではないのに万力で固定しているかのごとくがっちりと顎を掴まれていては、そんなことは到底叶うはずもなく。

「なっ…ゃ……んんーっ…ふ……はぁ…っぁ……んっぁ……ぅ…ぁ………」

あえなく深くくちづけられて、俺は恨めしげにセイロンを睨んだ。
こちらを見下ろす瞳は、まるで聞き分けのない駄々っ子を見るかのように優しくて、更にムカつく。
何かひどく甘ったるい液体を口移しに注ぎ込まれ、本格的な危険を察知した俺は、顎を掴んでいる腕に爪を立ててなんとか逃れようと躍起になって暴れた。
しかし、にちゅにちゅと先走りを塗り込むように下肢の熱い屹立を扱かれれば、強い快感にまたへにゃりと力が抜けてしまう。

「……はっ……んぅ…ぁ……ひぁっ……ん…ゃ……アァッ…」

堪え切れない喘ぎが、次々とくちづけの合間から漏れた。
クチュクチュと卑猥に響く水音が、舌を深く絡ませた唇から響いているものなのか、それとも俺の下肢から響いているのか、いやらしく混ざり合って判断がつかない。
例の甘い液体を全て飲み込まされた俺は、セイロンの巧みなくちづけにとろりと瞳を潤ませた。
歯列を辿り、縮こまった俺の舌を誘い出すかのように優しくくすぐっては、今度は強引に深く絡ませあう。



















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2007.02.22